Xデザイン学校公開講座in大阪(2017.12.22-23)

久しぶりに関西でUXのワークショップに参加。
UX KANSAIやXデザイン学校では仕事でUXを考えている大人達が相手。
今回は大学生とのワークショップでチームが成り立つのかドキドキとワクワクが入り交じった状況だった。


【サービスデザインとは】ー山縣先生ー

 ○顧客はジョブを解決するために商品を雇用する(ジョブ理論)

 ○サービスデザインの行きつくところは「価値創造の連鎖・循環の構築(ビジネスエコシステム)」

顧客側は何を求め、作る側は何をしているのか。
サービスデザインという言葉自体は学会でも認識されておらず、発表するが「それってサービス業?」という反応が返ってくると聞くとちょっと意外。
自身の専門に特化しすぎるとそれ以外(時代)の変化を知ることが事ができなくなる。


【パターン・ランゲージで成長する】ー長田先生ー

 ○ 問題は現状とあるべき姿のギャップ

 ○ 「発生型の問題」と「開発型の問題(未来型、創造型)」がある

問題には過去形と未来形があり、今回は未来形に取り組む。
分かりやすいのは前者(顧客がいる)で難しいのは後者(顧客はいるのか)というイメージがある。
でも前者についても本質を理解していないと現象に対するもので終わってしまいそう。


 ○パターン・ランゲージはある領域に潜む「デザインの知」を記述した言語

複数あるパターン・ランゲージのどれか1つを用いることで、そういった問題を解決する事ができる。
パターンランゲージは過去形でも未来形でも有用な道具だが、構造化シナリオよりも時代の流れを反映するように思う。


『質的調査』ー浅野先生ー

 ○ 現場の状況を観察(見る)、行為の背景のインタビュー(聴く)からインサイトを得る

 ○フィールドワークの際には「問い」を立てて観る(仮説は立てない、判断は後で行う)

 ○人はやった時に聞けば本当の事を言う。後で聞けばいくらでも嘘をつく

よく観察して「問い」を立ててから今している行為を師匠と弟子のように聞くのだけど、1つの要点に集中するとその他の要点を逃してしまう。
結果、観察が浅く「問い」が立っていなかったように思う。
自然に行えるようになるまで習熟が必要だがシンプルなモノほど習得は難しい。


 ○フィールドワークではトライアンギュレーション(方法論的複眼)が大切

 ○実際には1つの物事では判断せず、必ずいくつかの要素をもって行う(三角測量の中心点に真実はある)

フィールドワークはエスノグラフィのような深さはないが、調査者の感覚(問い)に従って何らかの要素を探し出す事ができる。
それは目の前に展開されている状況ではない。
まずはその感覚を見つけ出す行為だと認識すればよかったかもしれない。


『価値分析・パターンランゲージ・サービスデザイン』

 ○KAカードの「価値」に注目して「価値マップ」を作成

 ○ 価値グループの1つ1つがパターン

 ○パターンランゲージの概念化は調査で見つけた事象ではない

先のフィールドワークでちゃんと観察できていたのか、聞いた内容は本当だったのか、心の声は適切か、と疑惑を生じ始める。
価値マップは価値に注目してグループ分けするが、着目するポイントと粒度の設定が難しく感じる。
複雑になったのは概念化が進んでいなかったり見立てが浅かった事が原因かもしれない。
国語力の不足からパターンランゲージの適切な表現がみつからず、モヤモヤが解消できなかった。


 ○ 作ったパターンランゲージが本当なのか外部環境で確認する

集中すれば特定の要素を向上することはできるが現場との距離は離れていく。
意識的に外部環境と接触をとり、常に近視眼的になっていないのかチェックする必要がある。
特に顧客がお金を払う場面でチェックすることが大切で、収益化に繋がる道を感じる事ができそう。
ワークショップの際に昼食に行かないチームはダメだと言われるのは複数の学びが含まれていた。


 ○サービスデザインは顧客の価値創出を支援し、事業としての収益化をはかる

 ○ユーザビリティの向上は引き算で行う(足し算はダメ)


サービスデザインを考えるが本質的な解決策では無いもの、足し算の解決法を選択してしまった。
その事にメンバーと気づいたため、発表までの時間が苦しく感じた。
「収益化」という言葉に浮き足だってしまった気がする。


 ○意見は聴くが誰かが責任をもって決定する

昨年のUX KANSAIからチームでの協創が自身の課題の1つとなっている。
決定者を決めることで何を得られるのか、今回はそれを学ぶことができたように思う。


 ○ 酒、旅、読書

 ○ 知らない人(物事)に毎日接する事で社会の変化に適応する

 ○(達人の域に達したら)パターンから解放されてどんな事にも対応できる

今回のような内容を習得し自然とできるようになると見ている世界が変わるのかも。
遥かに遠いことだけはわかる。


【最後に】
1つ1つの作業で求められる内容とワークショップの進め方を身に付けていないと理解不足の所で囚われて躓いてしまう。
そしてモヤモヤした感覚が残るが、また数ヵ月後には良い思い出となって再チャレンジしたくなる。
たった2日で1年前のUX KANSAIの時の感覚を体験できるとは凄い。

「ワークショップは成果は求められていない」というメッセージと「経験学習モデル」の重要性が今になってわかった気がする。
浅野先生の教えが漢方薬のようにジワジワと効いてくる。

ありがとうございました。